タイムマネジメントする方法
仕事をする上でタイムマネジメントは大切です。タイムマネジメントには色々な手法がありますが、私が行っている方法をご紹介します。
少し手間もかかりますが、トータルで考えると効率的になっているかなと思います。
【準備するもの】
鉛筆、キッチンタイマー、1日のスケジュール(時間割のように時間が書かれているものが使いやすいです)、の3つです。
【流れ】
(1)タスクのリストを作ります(やることを書き出す)
(2)各タスクに予想所要時間を書きます。(例:食器を洗う:20分)
(3)1日のスケジュールにタスクを組みます(例:9時ミーティング、10時営業等)
(4)タスクを実行します。その際、時間を測ります。
(5)タスクにかかった実所要時間を記録します。
(6)実所要時間に基づいて、1日のスケジュールを立てます。
※(6)でも時間計測を続けて、より正確な所要時間を把握できるとよりよいです。
(全員ではないですが)ADHDの方など、予定を組むときに所要時間を短めに設定しがちです。また、かなりタイトに予定を組み、休憩や片付け、移動にかかる時間、相手のタイミングを待たなければいけないといった要素を見落としてしまうときもあります。そのため、いざ始めてみると思ったよりも時間がかかってしまうということが起きます。
その際には、少し手間ではありますが、以上のような実時間を算出してから予定を組むと、大きく遅刻をしたり、仕事が遅れることを若干減らせると思います。
忘れ物をなくすには?
仕事や学校において「忘れ物」が続いて困っている方々がいます。
忘れ物をした際には、本人は「次は気を付けよう」と思うかもしれません。
周りの人も「次は気をつけなさい」「意識しておきなさい」とアドバイスをするかもしれません。
問題を解決したいときには具体的に考えると具体的なアイデアが出やすくなります。
“具体的に”とは、「ビデオカメラで撮影できる行動」と考えるとよいです。
「忘れ物をする」は行動ではありません。
「忘れ物をしない」は目標としては曖昧で、改善効果は薄いでしょう。
忘れ物は、ある行動が起きなかった結果です。ある行動とは、例えば「定期をバッグに入れる行動」などが挙げられます。この行動が起きれば、忘れ物問題は起きませんね。
そう考えると、次は「どうやってその行動が起きやすくできるか?」になります。
また、「行動しなくても改善できないか?」という視点のアイデアも有効です。
例えば、定期を目に見える玄関に置く、玄関のドアに「定期を持つ」と貼り紙をするなどの工夫で「持つ行動」が増えるかもしれませんね。
また、定期とバッグをチェーンで結ぶといった工夫で、持つ行動を起こさなくてもよくなります。
ポイントは、「意識する、気を付ける」といった気持ちや考えを変えることで解決しようとするのではなく、どの行動を、どう変えれば問題が改善するのか、具体的に考えて具体的に環境を変える視点です。
新しい行動を覚えてもらうには
就職するということは、新しい行動を身に付けることといえます。
挨拶をする、担当業務の手順を覚える、得意先に出すメールを書く、清潔感のある身だしなみをする、雑談をする、間違ったら謝る、困ったら相談する、仕事を断るなど。
覚えることは多岐にわたります。
受入れ企業の教育担当者や障害者の就労支援者は、それらの新しい行動を教えることとなります。
新しい行動を教えるときに気を付けていることはありますか?
色々な点に注意しないといけませんが、大切なことの1つは「先修スキル」から教えていくことです。
例えば、挨拶を教える際には、まず「相手に近づく」行動ができるように指導します。
相手に近づかなければ挨拶できないからです。
何か行動をする際には、その前にできるようになっていなければいけない行動があります。その行動を先修スキルと呼んだりします。
何かの行動を教える際には、教えたい行動にはどのような先修スキルがあるのかから考えてみましょう。そして、先修スキルがたくさん出てくるように環境を整えるところから取り組んでみましょう。
ここでの環境を整えるとは「安心して近づける」、「近づいたらほめる(評価する)」ということ等を指します。
高次脳機能障害と働くこと
高次脳機能障害とは、ケガや病気などで脳にダメージを負った際に発症する障害のことです。
高次脳機能障害を理解する | 国立障害者リハビリテーションセンター (rehab.go.jp)
若年層は交通事故やスポーツなどによる受傷、中高年層は脳梗塞や脳出血などの脳血管の疾患による受傷が比較的多いと言われています。
それまで仕事をしていた方が、受傷されることもあります。
脳にダメージを負うような大きなケガや病気の場合、高次脳機能障害だけではなく、身体に障害が残る場合もあります。
手術や入院が終わると自宅に戻り、その後職場復帰を目指すという流れになる方もいます。
その際、障害を会社に正しく伝えることが大事になります。
職場に戻る際に障害が残っていると、場合によっては周囲に配慮を求める必要が出てきます。また、元の担当業務に戻れない場合もあり、配置転換をすることになるためです。
身体の障害は本人も周囲も症状や苦手なこと等が比較的把握しやすいものです※。
(※全員がわかりやすいわけではありません)
一方、高次脳機能障害は注意力や記憶力、集中力、感情のコントロール等に課題が出やすく、一見するとわかりにくい障害です。
そのため、職場復帰までは比較的スムーズに進んでも、しばらく仕事をすると「何か以前と働きぶりが違う」「慣れているはずの仕事でミスが出る」「同じミスを繰り返す」などの課題が出てくる場合があります。
そして、高次脳機能障害についての知識がないと、何が原因でうまくいかないのかわからず、ご本人も会社の方も困ったまま経過することもあります。
脳に大きなケガや病気を負った後、就職活動や復職活動を行う際には、高次脳機能障害の有無について医療機関に確認されるとよいでしょう。
ハローワークと障害者雇用
作業の見通しを持つコツ
皆さんは仕事をするときに、スケジュールを立てていますか?
それとも、とにかく目の前のタスクに取り組む感じでしょうか?
作業を始める前には「これくらいの仕事なら1時間くらいで終わるかな」と思っていたのに、思っていたよりも時間がかかってしまったということはないでしょうか。
そのため、次に予定していたタスクに取りかかることができずに、仕事が間に合わなかったということはないでしょうか。
そのようなときには、タスクの記録を取って実際にかかっている時間を正確に把握することから始めてみてはどうでしょうか。
やり方は簡単です。
メモとペンを用意しておき、仕事をしながらタスク終了までにかかった時間を書き留めるだけです。
そうしてわかったタスク所要時間を元に1日のスケジュールを組むと大きなズレは防ぎやすくなります。
特別なものは必要ありませんが、手帳のような1日の時間が書かれたシートがあると記録しやすくなります。
仕事をしていると、トイレや休憩などの必要な休養時間、上司や客からの突然の呼び出しなど、不測の事態も起こります。
タスクの組み立てを行う際には、1時間に5~10分程度の休憩時間を設けて不測の事態のために余白を設けておくとよいでしょう。
自己紹介書を作ろう
面接では、多くの企業から履歴書や職務経歴書の提出を求められます。
その際に「自己紹介書」の作成しておくと様々なところで役立ちます。
自己紹介書とは以下のような情報をまとめた資料です。
・障害名
・自分の障害特性や病気などの症状についての説明
・自分の特性が仕事に影響する場合の自分なりの対処方法
・得意なこと、苦手なこと、得意とまではいかないができること
・ストレスや疲労がたまったときのサイン
・ストレスや疲労がたまったときの自己対処
・一緒に働く人に知っておいてほしいこと
・通院の頻度や曜日
・主治医や支援者からのアドバイス など
内容に決まりはありませんが、企業が適切な雇用管理をするにあたって知っておきたい情報です。
また、これらは面接などで質問されることも多いですし、入社後も一緒に働くメンバーに伝達しておきたい大切な内容です。
そして、これらの情報を初対面の相手にわかりやすく伝えることはなかなか難しいものです。
同じ内容を伝えるにしても、言葉選びで印象が大きく変わります。
そのため、事前に整理しておくとよいでしょう。
文書にして企業に提出するか、面接時に手持ち資料として使うかに決まりはありません。状況や個人の考えによって使い方はそれぞれです。
また、クローズ(会社に障害のことを伝えない就職活動)の場合には、より一層重要になります。
クローズは、会社に障害のことを伝えないのですが、その分支援者や上司同僚の協力を得にくくなる場合があり、仕事に関する様々な問題に一人で対処しなければなりません。
そのため、自分の得意不得意を把握しておき、トラブルへの対処方法をしっかり確立しておく必要があります。
就職活動の際は、自己紹介書の作成を検討してみるとよいでしょう。