障害者雇用×行動分析学 雑記帳

障害者雇用と行動分析学についての雑感です

障害者が就職活動をするときの基本ステップ<就職の準備6>

6.発達障害についての一般的知識を集める

 

 

もし、診断がある方であれば、その診断名に関する情報を集めます。

 

一般的知識を得ることの主な理由は以下のとおりです。
①自分のことをより深く知ることができるから
②誤った情報に気付けるようになるから
③自分の困りごとを解決する情報がある場合があるから
④人に説明する時に、「こういえばいいのか」「こう表現すればいいのか」ということがわかり、うまく伝えるお手本になるから
⑤困った時にだれに頼ればいいのかといった専門機関の情報がある場合があるから
⑥周囲の誤解や偏見に触れたとき、「自分の支え」になるから


就職活動の観点からいうと、④は欠かせません。
会社に障害があることを開示した場合(オープンにするといいます)、面接で自分の障害について説明が求められるかもしれません。また、会社に配慮してほしいことを伝えることも必要かもしれません。その場合、自分の障害について説明できるよう事前に情報を整理しておく必要があります。

 

 

発達障害の情報を集める時には「正しい情報」を集めるよう気を付けましょう。
発達障害の場合、その障害に対する説明には正しい情報、謝った情報が混在していることがよくあります。また、一人ひとり特性なども異なることも把握のしづらさにつながっています。

迷ったら、まずは主治医の先生に相談してみるとよいでしょう。

また、発達障害者支援センター(各都道府県に設置されています)のホームページなどから情報を集めるのもよいかもしれません。ホームページだけではなく、直接相談に行くこともできるでしょう。
http://www.rehab.go.jp/ddis/

 

 

発達障害についての正しい情報は、意外と本人に届いていない場合があります。

・診断時期が幼少期で本人が覚えていない
・診断名を伝える際に、診断した根拠やその障害と一緒に生きていくことの意味や大変さや良さ、一般的な対処方法(その障害との付き合い方)等も一緒に伝えられていない
・問題が深刻化した段階で急に伝えられて、心の準備ができてない(就職後、仕事がうまくいかず、メンタル不調となり心療内科等に通院してみたら、発達障害があること発覚するなどのパターンがあります)
・自分の身近な人の反応が怖くて、相談できない(表立って情報が集めにくい)
・周囲の人の障害に対する考え(身近な人からうちに障害者がいるはずない。障害はよくない。障害があることはかわいそう等の発言がたびたび出ると、本人もそうだと思う場合があります)に触れて、正しい情報が入りにくい


発達障害に限らず、正しい情報があることで、効果的な対処方法や自分なりの障害との付き合い方を見つけやすくなり、誤った情報に振り回されることを防ぐことができます。ひいては、自分の生き方を模索するための土台となると言えます。

 

 

最後に情報を集める時の注意点です。

発達障害が治る」、「○○すれば、絶対に良くなる」、「○○しないと手遅れになる」、「発達障害になるのは、○○のせいだ」等の言葉があるものや攻撃的、感情的な批判表現(※1)の多い情報は避けておくとよいかもしれません。

診断を聞いて動揺したり、不安が強い時期には特に注意しましょう。そのようなときには、ひとまずそのような言葉が載っていない情報を複数知ることを心掛けるといいかもしれません。

その上で、その後に上記のような言説に触れるとよいかもしれません。というのも、何が正しくて、正しくないのかを判断することはなかなか難しいことだからです(※2)。そのような状況なので、全く避けるよりも、「それらの言説のどこがよくないのか?」に気付ける力がある方がよりよいと言えます。

その意味では、避けた方がいいであろう情報を含んだ情報にも、少し触れることで多くの人が同じことを言っている点、見解が異なる点、そして、その理由がわかります。

一言でいえば「発達障害に関する情報の目利きができるようになる」ということです。

もちろん、どのような情報を得るか、信じるのかは個人の自由、自己判断になりますし、私自身それらの文言、発言者等を批判するつもりもありません。

 

 

(※1)根拠に基づいた批判や論理的な矛盾がある点についての批判は、よりよい支援方法を探す上で大切なものです。ここではそれらは除いた感情的で無根拠な批判のことを指します。

 

(※2)現在では、多くの研究実践の蓄積により、現段階では「発達障害とはこのような障害だろう」、「この関わり方、この支援の仕方が効果的だろう」というものが数多く見出されています。そのような定評のある情報からあたるとよいでしょう。